［ 私の語学人生 番外編 ］ 〜ストラスブールのクリスマス市〜

［ 私の語学人生 番外編 ］ 〜ストラスブールのクリスマス市〜

クリスマス前ということで、今日は番外編🎄
クリスマス市の思い出をお話ししたいと思います。
⁡
⁡
⁡
最初にパリに語学留学していた22歳の冬のこと、
私は有名なクリスマス市に行こうと急に思い立ち、
一人でストラスブールへ一泊旅行に行きました。
⁡
⁡
⁡
ストラスブールはフランスですが、ドイツ国境に近い町。
アルザス地方特有のドイツ文化が融合した街並みで、
大きなクリスマス市（マルシェ・ド・ノエル）で
賑わっていました。
⁡
⁡
⁡
パリでもクリスマス市はあちこちでやってはいますが、
フランスではどこか各店が飾り付けなどをバラバラに
やっている感じがあります。
でもドイツ系の文化のあるこの街では、
同じフランスでも、街も飾りもクリスマス市も
とても統一感があって大規模！
独特の美しい建物、可愛いクリスマスグッズ、
賑やかな市場、キラキラのイルミネーション…
私は夢中になってワクワクして街中を歩き回りました。
⁡
⁡
⁡
当時お金がなくて、宿もユースホステル的な安い宿、
確か町のちょっとはずれの方にあったんですよね。
少し疲れ、宿近くで夕飯を食べようと思って歩いて行くと
中心街と違ってあまり飲食店もなく、
なんか地元民でないと入りにくいようなビストロが
ポツンと一軒だけありました。
⁡
⁡
⁡
中心街に戻って食べようかとも思ったのですが、
なんか浮かれて丸一日歩きすぎたせいで、
急に一歩も歩けないくらいお腹が空いてしまいました。
しかも外がめちゃくちゃ寒かったんですよね。
もうなんでもいいから食べたい、ひもじい、寒い！
という思いが勝ち、もうここでいいや、と
明らかに観光客向けでないビストロに一人で入りました。
⁡
⁡
⁡
入ってみると、やっぱり明らかに観光客向けではなく🤣
ガタイのいい地元のおじさん（お爺さん？）たちが
店主含めて楽しそうにワイワイ赤ワインを飲んでいました。
一同、ヒョロリと入ってきた東洋人の珍客に興味津々。
⁡
⁡
⁡
私は、うわー😅と思いましたが、
全く嫌な雰囲気はなかったので
（というかもうお腹が空いてたまらなかったので）
とりあえずテーブルに座らせてもらったのですが、
5分と経たないうちにおじさんたちがやってきて
⁡
⁡
「君はどこから？日本人か！俺は柔道黒帯だ！」
「このお嬢さんに俺の奢りでワイン出して」
「このソーセージは食べた？これが一番うまいんだ」
「ストラスブールは好きか？この町の歴史知ってるか」
「フランス生活はどうだ。パリの奴らは冷たいだろう！」
⁡
⁡
とやいのやいの囲まれてしまい、
知らないうちにいろんな郷土料理が運ばれてきて、
日本のことを聞かれたり、娘の写真を見せられたり（笑）
フランスとドイツの戦争に翻弄されて何度も国籍が
変わってきた町の悲しい歴史を教えてもらったり…
そして飲めや食えやで全部ご馳走になって
なんだかめちゃくちゃ良くしていただいたんです🍷🍖✨
⁡
⁡
⁡
皆さんにお礼を言って帰ろうとしたら、
「クリスマス市に店を出してるから案内してあげよう」
と何人かでまたクリスマス市に連れて行ってくれ
自分の店のチョコレートでコーティングされたケーキを
スーパーのビニール袋にガンガン放り込んで
ほいっと渡してくれました。
（個別包装とかではもちろんなく、
こんなに食べられないよー！！という量…
結局ユースホステルで同室の子達にも配りました、笑）
⁡
⁡
⁡
お菓子の詰まったビニール袋を持って宿に帰りながら、
ストラスブールのおじさんたちの温かさと、
そんな楽しいひとときにでも話題にのぼる
ドイツとフランスの戦争のしこりのこと、
その時ご馳走になった郷土料理の美味しさ…
全てが奇跡のようにじんわりと来る夜でした🕯✨
⁡
⁡
⁡
ちなみに、そのずっと後に、
私は出張で何度かストラスブールを訪れました。
変わらない美しい街並み…懐かしかったです。
あの時のビストロを探そうと思いましたが、
もう何も覚えていなくて場所すら検討がつかず。
⁡
⁡
…でも、きっと入らなくて良かったですよね☺️
⁡
⁡
⁡
街との出会いも一期一会。
同じ場所に佇む街と、その時々の自分との化学反応だと思います。
２０代のあの日、
ストラスブールのおじさんたちとワイワイ話して
束の間理解しあったクリスマス市の夜は
夢だったのかな…というような楽しい思い出です。
⁡
⁡
⁡
ストラスブールを思うと、今でも心が温かくなります。